一般泌尿器科

一般泌尿器科

一般泌尿器科は、「尿の産生から排尿までの尿路」に生じた病気を主な対象とする診療科です。すなわち、血液中の老廃物を濾過してくれる腎臓、産生された尿を運ぶ管、膀胱などに発生した病気の治療を行います。さらには前立腺など男性生殖器も診療範囲に含まれます。

対象とする臓器の形態が男性と女性では大きく異なるため、前立腺肥大のように男性のみの疾患もあれば、膀胱炎など女性に多く見られる疾患もあるのが特徴です。当院では、男性・女性どちらの泌尿器の病気にも幅広く診療いたします。

このような症状はご相談ください

  • 尿が出にくい
  • おしっこの線が細い
  • 尿に血が混じっている
  • おしっこが近い
  • 夜間、何度もトイレに行きたくなる
  • 尿が残っている感じがする
  • 尿が漏れる
  • 足がむくむ
  • 腰や背中が痛む
  • 腎臓の辺りが痛む
  • 尿道から膿が出た
  • 健診などで血尿や蛋白尿を指摘された

など

膀胱炎

膀胱炎は年齢を問わず罹患しますが、とくに若い女性に多く見られます。主に外陰部にいる細菌が尿道から入り込み、膀胱粘膜で繁殖して起こります。通常は膀胱の感染防御機構がはたらいて膀胱炎にはなりませんが、ストレスが溜まっているとき、体調がすぐれないとき、尿を我慢したときなどに、免疫力が低下して膀胱炎が起こります。これに伴い、排尿時の痛みや違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛、血尿、混濁尿など症状が出現します。治療は通常抗生剤を3~5日間、内服します。
原因菌のおおくは大腸菌ですが、抗生剤が効かなくなる耐性菌の可能性もありますので当院では尿培養検査を行い、正確丁寧な治療を心がけております。

前立腺肥大症

前立腺は男性にのみ存在する臓器であり、尿道を取り囲んでいます。ここでは精子の活動性を高める前立腺液を分泌しているのですが、加齢や生活習慣病などによって前立腺が肥大化することがあります。これに伴い、前立腺の筋肉が過剰に収縮して尿道が圧迫されるので、排尿回数の増加、尿意切迫感など、様々な排尿トラブルを引き起こすようになります。なお、80歳以上の高齢者の場合、8割以上の方が前立腺肥大症になると言われます。治療は基本的には薬物療法で対応いたしますが、十分な改善効果が認められないケースでは手術療法を検討します。

神経因性膀胱

尿をきちんと排泄するためには、膀胱と尿道がうまく連動して働くことが重要です。これらを働かせるためには、命令を伝える神経が機能していないと上手くいきません。脊髄が損傷すると、神経障害を起こしてしまい、神経因性膀胱となります。脳梗塞やパーキンソン病、子宮がん、直腸がんなどの後遺症で起こることもあります。治療は患者さんのタイプを見極めたうえで、内服薬の投与、自己導尿、留置カテーテルなどを行い、症状を改善させます。

尿路結石

腎臓などに結石ができると、何らかのきっかけで尿管や膀胱に落下していき、尿路が急激に閉塞することがあります。結石の大きさや位置によっては激痛を伴うこともあり、緊急の治療が必要になることも少なくありません。なお、痛みなどの症状がないときでも、超音波検査や腹部CT検査などで結石が確認されたときは、治療の必要性を判断します。結石が小さいときは、薬を使って自然排石を目指しますが、大きな結石および自然排石が不可能と考えられる結石は、体外衝撃波結石破砕術や内視鏡治療を検討いたします。

前立腺癌

早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。ただし、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります。
進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿や排尿痛、骨への転移による腰痛などがみられることがあります。気になる症状がある場合には、早めに泌尿器科を受診することが大切です。
PSA(前立腺特異抗原)は前立腺でつくられるタンパク質の一種で、前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられています。がんや炎症により前立腺組織が壊れると、PSAが血液中にもれ出し、血液中のPSA量が増加します。前立腺がんが疑われる場合は、まず、血液検査によってPSA値を測定し、前立腺がんの可能性を調べます。

膀胱がん

膀胱がんは主な症状としては、症状のない肉眼的血尿であり、この場合は要注意です。
頻尿、排尿時の痛みなどがあることもありますが、発熱や腹痛はあまり起こりません。
治療については、がんの状態によって異なりますが、基本的には外科的治療を行います。
当院では最新で侵襲性性の低い軟性膀胱鏡、超音波機器を使用し、的確で迅速な診断を行います。手術が必要な場合は専門病院へ紹介させていただきます。術後の再発予防、フォローアップは当院でも可能です。

陰嚢水腫

陰嚢水腫は精巣(睾丸)を包む膜(精巣固有鞘膜)の中に水・リンパ液が溜まり、陰嚢が膨らんだ状態になる病気です。大人の陰嚢水腫については、原因がはっきり分かっていませんが、外傷や感染などにより生じた精巣固有膜の病的状態(液体の分泌と吸収のバランスが崩れている状態)等が、要因と考えられています。根治するためには手術が必要となりますが内用液を穿刺することで一時的に縮小改善することができます。

精巣捻転

精巣捻転は精巣が陰嚢の中で回転して、精巣の血管(精索)がねじれてしまう病気です。
精巣に血液が通わなくなるので、すぐねじれをほどいてあげないと、精巣が壊死してしまうことがあるので陰嚢痛の初期に超音波検査を用いて迅速に診断することが重要です。
思春期に多い病気なので、中高生の男の子が「急に睾丸が痛くなった」と言ってきたら、急いで泌尿器科を受診してください。

精巣腫瘍

精巣がんは精巣にできる悪性腫瘍です。10万人当たりの発生率はおよそ1人で決して多くはなく、男性の全腫瘍の1%程度ですが、20~30歳代の男性においては最も多い悪性腫瘍といわれ、若年者に多いことが特徴です。
初期症状は、がんができた側の陰嚢の腫れや睾丸のしこりです。痛みは伴いません。なかなか自分で陰嚢を定期的に触る習慣がないこともあり、初期の小さい段階で発見することは難しいです。初期の段階では、パートナーが自分の陰嚢の異常に気付いてくれる場合も少なくありません。また、陰嚢内の異常に気付いても、恥ずかしくて誰にも言い出せず受診が遅れるというケースもあります。精巣がんは進行のスピードが速く、一気に全身のリンパ節や臓器に転移することもありますので、若年者で陰嚢の異常に気付いた場合は、早めに泌尿器科に受診してください。

急性前立腺炎

急性前立腺炎は、女性の膀胱炎と同様の機序で起こる男性特有の尿路感染症です。
男性は尿道と肛門が女性よりも離れており、女性ほど大腸菌などの細菌が尿道から侵入してくる頻度は少ないです。細菌が男性の尿道から侵入しますと、膀胱まで到達して膀胱炎になることはあまりなく、膀胱に到達するまでの途中経路にある前立腺や精巣上体で細菌が繁殖します。前立腺で細菌が繁殖すると急性前立腺炎を発症します。
急性前立腺炎が起こると、前立腺は炎症により、腫れ上がります。それに伴い排尿時に強い痛みを伴い、腫れあがった前立腺が膀胱を刺激し尿の回数が多くなったり、尿の出口をふさいでしまうため尿が出にくくなったりします。
急性前立腺炎の症状は、女性の膀胱炎症状と似ていますが、膀胱炎と違うのは、発熱があることです。微熱のこともありますが、多くの場合38度以上の高熱が出ることが多いです。
治療は抗生剤の投与が必須です。
軽症例は内服による抗生剤の投与のみで改善することもありますが、ほとんどの場合は点滴による抗生剤の投与が必要になります。重症例では入院による治療が必要になります。

慢性前立腺炎

慢性前立腺炎は前立腺に炎症を起こして排尿に関する症状や性機能障害を起こす疾患で、慢性骨盤痛症候群と呼ばれることもあります。10代後半~40代の発症が比較的多い傾向があります。はっきりとした原因はわかっていませんが、前立腺周囲の血流障害、自己免疫反応、前立腺内への尿の逆流、知覚過敏などの感覚神経異常、ホルモンの異常などの関与が指摘されています。
正確な診断や適切な治療が難しい疾患ですが、症状や状態などにきめ細かく合わせた治療を行うことで症状の改善が可能です。

夜間多尿

夜間(寝てから起きるまで)の尿量が1日全体の尿量の33%を超える(若年者では20%)場合と定義されます。
原因としては①水分過剰摂取②高血圧、心不全などの心血管系の疾患③ホルモン(抗利尿ホルモン)バランスの低下④アルコール、カフェイン、薬剤による多尿などが考えられます。
治療は飲水指導、塩分制限、行動療法に加えて抗利尿ホルモンや利尿剤投与が有効な場合があります。

尿道炎

尿道炎が起こる原因は、「性感染症」と「異所性感染」の2つに分けられます。
性感染症の場合は、性行為によってパートナーから細菌が感染します。
クラミジアや淋菌などが主な細菌となり、1~2週間で発症するといわれています。
また、性行為によって粘膜が傷ついたことで、皮膚や粘膜にいた細菌が侵入してしまうようなケースもあります。
一方で、異所性感染の場合は外陰部から肛門までの部位が不衛生な状態になっていることが影響して起こると考えられています。
尿道炎の場合、検査によって検出された原因菌に対する抗生物質を処方します。
おおよそ1~2週間内服をすることで改善しますが、耐性菌によって改善しない場合には注射薬などで対応します。
クラミジアや淋菌といった性感染症の場合はパートナーも感染が疑われるため、パートナーも検査をして治療する必要があります。
また、再検査によって完治が診断されるまでは、性行為を控えてください。

男性更年期障害(LOH症候群)

男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモンの低下によって「体がだるい」、「やる気がでない」、「勃起が弱くなった」などの症状を呈するようになった状態のことで加齢男性性腺機能低下症候群(Late-Onset Hypogonadism:LOH症候群)とも呼ばれています。
一般的に、テストステロンの量は10代前半から急激に増え始め20歳ごろをピークに加齢とともに徐々に減少していきますが、男性更年期障害は40代後半から多くなり50~60代の働き盛りの世代の方々に最も多くみられます。
症状や検査結果、本人の年齢などを総合的に判断して状況に応じた治療を行います。
男性ホルモンが年齢基準値より低下している場合には「ホルモン補充療法」を行います。しかし、PSAが高い、直腸診で異常があるなど前立腺癌が疑われる場合や多血(血が多い)、重度の肝機能障害などの合併がみとめられた場合はホルモン補充療法の適応から除外されます。
「性欲がなくなった、勃起が弱い」、「体がだるい、やる気が出ない」、「ほてりやひどい発汗がある」、「記憶力が落ちてきた」などといった症状を自覚するようになってきたらお気軽にご相談ください。