予防接種は、感染症の原因とされる細菌やウイルスなどの病原体を利用し、その病気に対する免疫をつけることで、あらかじめ対策を講じていくものです。この場合、主にワクチン接種を行うことで免疫をつけていきます。ワクチンとは、細菌やウイルスなどの病原体の病原性を極限まで弱める、あるいは無力化した病原体の一部を利用して作られます。これを体内に接種していくことで、自然感染しなくても抗体を獲得できるようになります。当院では、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、各種予防接種を行っています。接種を希望される方は、事前にお電話または電子メールにてご予約のうえ、指定日時にお越しください。
ご承知の方も多いと思いますが、インフルエンザは毎年冬から春の季節にかけて流行します。罹患すると、38℃以上の高熱、悪寒、頭痛、鼻水、鼻詰まりなどの症状が起こります。お年寄りや基礎疾患を持つ方がインフルエンザになると、肺炎を引き起こして入院加療が必要になることもあるので、きちんとインフルエンザワクチンを接種しておくことが大切です。なお、インフルエンザワクチンの接種による持続有効期間は約5か月、効力を発揮するまでに2週間程度の期間が必要です。そのため、より高い効果を得るためには流行のピーク前、遅くとも12月中旬までには接種を終えるようにしてください。
肺炎は日本人の死因の上位に位置付けられていますが、その多くは65歳以上の高齢者となっています。また肺炎の発症原因はいくつかあるのですが、成人の肺炎で最も多いのが肺炎球菌の感染だといわれています。そのため、65歳以上の高齢者、もしくは60~64歳の方で心臓、腎臓、呼吸器などに重度の病気がある方に対する肺炎球菌ワクチンの予防接種は、定期接種となっています。ただし、定期接種扱いとなるのは1人1回のみなので、定期接種を受けた後は、自費で受けることになります。なお、再接種を行う場合、前回の接種から5年未満の状態で受けてしまうと注射部位から強い痛みが現れるようになります。したがって、肺炎球菌ワクチンを接種した年月日をきちんと記録しておくようにしましょう。
予防接種を受けた方は、その後30分程度は安静にし、接種を受けた医療機関に留まるか、医師とすぐに連絡が取れるようにしておきます。もし、接種部位に異常な反応が現れたり、体調に変化が生じた場合には、速やかに医師と連絡をとり、身体の状態などを伝えてください。また、接種後24時間以内は体調が変化するおそれがありますので、過激な運動や飲酒は控えるようにしてください。